由那 | 「……って、さっきからなにぼーっとつっ立ってんのよ?」 |
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早生 | 「あっ、いや、その……」 |
由那 | 「ふんっ、んっ、んむんむ………なによっ、美味しいじゃない!」 |
美味いんだったらそんな怒るなよと、思わず言いそうになり、言葉を飲みこむ。 | |
由那 | 「……ていうかさ……私になんか用なの?」 |
早生 | 「いっ、いや……特には……」 |
由那 | 「だったら、いつまでもそこにいられると、迷惑なんですけど?」 |
早生 | 「そっ、そうだよな、悪い……」 |
本当は『キミもバイトの面接受けてたの?』とか、聞こうと思ったけど、 やはり機嫌がよろしくないようなので、手でどうどうと抑えるジェスチャーをしながら後ずさる。 | |
周りから見たら、ちょっと食欲旺盛な女の子をじっと見つめる自分の方が怪しく映るだろう。 | |
早生 | 「美味しいからって、あんまり食べ過ぎない方がいいんじゃないか?」 |
由那 | 「全部食べられるわけないでしょ!!」 |
「だったらなんでそんなに注文したんだよ!!」 | |
とも言えず…… | |
早生 | 「邪魔してごめんな。それじゃ」 |
早々に立ち去った方が身のためだと、俺は苦笑いを浮かべて退散することにした。 |