由那 | 「……んぅ!?」 |
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駅の方を向いていた由那が俺の方を振り返る瞬間、その無防備な唇にキスをした。 | |
時間にして一瞬だったが、唇の柔らかさをお互いに感じ合えた時間だった。 | |
由那 | 「んなっ、な、なななな!」 |
早生 | 「ほらっ、走れ! 今ならまだ間に合う!」 |
由那 | 「ばっ、バカぁっ! いきなり、なにすんのよーっ!!」 |
由那 | 「もーっ!!」 |
早生 | 「えっ!?」 |
その瞬間、俺は自分の顔を由那にがっしりと捕まれる。 | |
由那 | 「んっ……ちゅっ……」 |
早生 | 「!!」 |
甘い香りと共に、再び柔らかい唇が俺に重ねられる。 | |
由那 | 「んっ……んんっ……んっ……んぅ……んんぅ……」 |
柔らかい手で頬を優しく撫でられた俺は、 まどろみの中に落ちていきそうなぐらいの衝撃を受けた。 | |
由那 | 「はぁ……はぁ、はぁ……」 |
早生 | 「お……おい……」 |
由那 | 「こ、今回は、これぐらいにしておいてあげるわっ!!」 |
由那 | 「それじゃあね!!」 |
早生 | 「あっ……おっ、おい……」 |
悪役のような捨て台詞を吐いた由那を呼び止めようにも、 もう改札を抜けてホームに向かって走り出していた。 |