夏姫 | 「あっ……」 |
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早生 | 「うん? どうしたの?」 |
夏姫 | 「……もしかして、ずっと、見てました?」 |
早生 | 「ええっと、なにを?」 |
夏姫 | 「高座の方じゃなくて、私の方……」 |
早生 | 「あ……うん、まあ……」 |
夏姫 | 「……ちゃんと、高座を見てください……落語を聞きに来てるのに……」 |
早生 | 「ごめん、ちゃんと見るよ」 |
夏姫 | 「はい」 |
夏姫 | 「ぷっ……あはっ、あははっ!」 |
けれど、こんなに笑う佐藤さんを見るなと言われても、それも無茶と言うものだ。 | |
ついつい目が引き寄せられてしまうんだから…… | |
夏姫 | 「宝交さん宝交さん、ここからが聞きどころ」 |
早生 | 「わ、わかった。気合い入れて聞くよ」 |
佐藤さんがちらりとこっちを見て、嬉しそうに口元を歪め、それからまた大きく笑い声を上げた。 | |
夏姫 | 「くす……あはっ、あはははっ!」 |
早生 | 「あはは……一度笑い出すと、止まらないな」 |
夏姫 | 「うん、面白い……あははははっ!」 |
笑ってるうちに、どんどん楽しくなってくる。 | |
落語で笑っているのか、佐藤さんを見て笑っているのか……どっちなんだろうか。 |